掌にのせることができるほどの小さな厨子入りの地蔵菩薩像。小さいですが、大きな慈悲の心を感じるお姿です。木彫ではなく、銅造。鍍金は確認できません。この類のものは火中、土中したものなども多くございますが伝世されてきたものでしょう、経年の煤などの汚れはありますが、状態も良好。また、表面はオリジナルの状態を保っています。キリリとした表情、体のバランス、襟元などを見ても古い様式。蓮華座は別鋳造ですが、下部に差し込むための芯棒がある古いタイプのつくりです。小さな銅製のものではこの差し込む部分は鎌倉以降はあまり作られていないように思います。また蓮華座のつくりも非常に古格ある物で小さいながらも重厚さと繊細さを兼ね備えています。光背は、後付けなのか、後補なのかは判断できませんが、針金などで修理が施されています(経年を見る限り江戸期頃の後補か)。木彫の岩座、厨子は中世以降に新たに作り替えたものでしょう。個人用の小さなもので、金銅仏、懸仏などとも違い資料も少なく、充分に比較対照できませんが、鎌倉時代まで上がるものと判断しております。
本体 縦 2.5 横 4 高さ 7.5(木彫の岩座含む)、 厨子 縦 3.5 横 4.5 高さ 10(cm)
売約済 ありがとうございました。