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杉本 博司

1948年生まれの日本を代表する世界的美術家。僕の説明するまでもなく皆さんもよくご存じの方だと思う。僕にとっては古美術という点で少なからず共通点を感じる。古美術商としても日本、アメリカを行き来した経験を持ち、その経験はその後、作品にも色濃く表れ、評価や作品の素晴らしさは皆さんもご存じの通り。表現することにおいて、特にアーティストと自分の祖国の古いものは非常に深い意味合いがあることを改めて感じさせてくれる。現在、過去、未来が共存すると言えば良いのか、人に感動を与えるものには必ずと言っていいほど逆説的なものを感じるものが多い。過去と現在、善と悪、富と貧、有と無など正反対のものが共存しているからこそ作品としての役割があるように感じる。

杉本 博司杉本博司氏、安藤忠雄氏、三宅一生氏など日本を代表する方々の作品は素直にすばらしいと感じる。僕が成長した過程において美意識の形成という点では日本で育ったものならば彼らからかなりの影響は受けていることだろう。ミニマルでありながらも哲学というかコンセプトが明確(そのコンセプトは日本的で難解な部分もあるが)で精神性といったものを視覚的に表現し見るものに訴えかける力を感じる作品は日本人特有の表現方法なのかもしれない。ありきたりの言い方だけど禅、茶の湯の影響が過去から現在を通しても自然と表れるのだろし、海外からもそういった視点で見られるし良い意味でも期待されるのかもしれない。

ただ、僕が思うにやはり団塊の世代(世界的に見ても戦後のベビーブーム世代)の作り上げた世界観は微妙に、ぼくらの世代とは意識や感覚が違うのかもしれない。素直に素晴らしいと感じるものの少し違和感を感じるのは正直な僕の気持ち・・。でも違和感が何なのか明確には説明できない。その違和感は何のか?理解したいと思うからこそ、きっと古いものを見たり触れたりするのだろう。芸術と呼ばれる作品を観ても、古美術を観ても答えは千差万別。雑誌の著名な評論家の意見も近所のおっさんの意見も異なって当たり前。自分さえ納得できる答えがあればいい。そういう思考を促してくれるものは好みは別として人々にとって、きっと必要な作品(古美術も含めて)なのだろう。杉本博司氏の作品は観る者の思考が完結しない継続性を僕は強く感じている。

公式サイト http://www.sugimotohiroshi.com/

映画 『はじまりの記憶杉本博司』公式サイト

 

2012/04/12

vol.81 骨董の価値  ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.83 SPAIKE LEE(スパイク リー)