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骨董の価値

真贋古いものをそれなりに扱い数年経ってくると物の価値についてどんどん迷ってくる。始めた頃は、伊万里のこの猪口だといくらとか、この丸椅子ならいくらと覚えていくから仕入れたものもそれに合わせて値付けしていける。もう既に十年近くキャリアをもつ最近は値段が正直合っているかどうか確信がますます持てなくなっていく・・。骨董などの古いものの値段って一体どうやってきまるのだろうと疑問に思う方も多いと思うが、はっきり言って店主が勝手に決めているだけ。確かに業者間取引などでのある程度の相場ってのは存在するので全国どこに行っても、そう大きな差は生じない。ましてや今のようにネットがあると地方の差やタイムラグも生じないので昔よりは値段が見えてきやすいのは確かだけど、果たしてその値段も合っているのか?と迷ったりもする。まあ骨董屋なんて、評価が皆違うから成り立つ商売で皆がすべてのものを同じ価値観で見ていたら商売なんか、はなから成り立たないので他人の意見なんか参考にならないって考えるとますます物の価値が独りよがりではないだろうかと迷いが出てくる。こういう迷いって、僕の場合はキャリアを積めば積むほど出てくるようでますますわからなくなってくる。安いと思って買ったら全然売れなかったり、こりゃ高いぞと思って買ったのに高く売れて結果安い買い物だったりする。値段だけならまだしも最近は時代や産地まで本当にこれで間違いないかと迷ったりする。資料で書いてあることすら信じられなかったりするから本当に厄介だ。まあ骨董屋がこんなこと書いてどうするの?と思われそうだが本当だから仕方がない。日々、買う値段、売る値段はもちろん、時代や産地に疑問を持ちながらやっている。自信をもって言い切れる人は本当に尊敬する。特に自分の好きなものになればなるほどその迷いは大きい。物の価値って本当に曖昧だ。迷いがなくなるのはあとどれくらいキャリアを積めばいいのだろうか?

こういうことを考えていると「真贋」の問題も出てくるのでまだまだ迷いは続くのであった。

*ちなみにウェブショップのものたちは責任をもって時代や産地を表記しております。間違うこともあるかと思いますが優しい目で見守っていただければ幸いです・・。

 

2012/04/05

vol.80 民芸の呪縛  ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.82 杉本 博司