Blind side(ブラインドサイド)

burton東北出身で寒さに慣れている僕でも奈良に数年住むとその土地に身体も対応していくようで少しずつ寒がりになってきたように感じる。十代後半から二十代後半の約十年間、僕はスノーボードをしていて一年の半分以上は雪の上にいたのにも関わらず人間の身体は良くも悪くも環境に順応していくようだ。

スノーボードのトリックにスピンがあるが、回転方向で視界が広い方から回るスピンをフロントサイド、オープンサイドと言い視界が狭い肩越しに回るスピンをバックサイド、ブラインドサイドと言う。僕は当時オープンサイドスピンが得意でブラインドサイドに比べるとメイク率が断然良かったが、ブライドサイドは不得意であった。僕は不得意であったがこのブラインドサイドという言葉の響きが何となく好きである。一回転は360度だからそれ以上回転すればその過程において不得意のブラインドサイドの動きが必要になってくるわけでアプローチの違いだけで実は回転のなかにどちらの要素も含まれていることになる。得意としているものなのに不得意のものをしているということになる。フロントとバック、オープンとブラインドなどと区別しているが、陰と陽、goodとevilのように相反するものが既に共存していることなのだろう。得意なものも苦手なものも表裏一体だったと今さらながら感じている。

骨董、古美術も然り、表に見える部分だけ見ていてもそれがすべてではない。裏の見えない部分つまり歴史や背景といったものをある程度理解しないとその全体像は理解していると言えないような気がする。芸術だってそうだ、作者の意図を感じなければ作品を理解したということにはならないだろう。スノーボードと同様に現在の僕の古いものに対する眼力はブラインドサイドを不得意としていると自覚している。もっとその世界に踏み込めばおそらく眼力も環境に順応していく身体と同様な働きを見せてくれるのかもしれない(といってもevil「悪」の世界に手を染めるわけではありません!骨董屋自体を悪という人も多いけど・・・)。

画像は93年頃のburton twin。当時、グランドトリックやスピンの回転がやたら増えだしスウィッチスタンスが当たり前になってきてtwin tipの板に変る初期のもの。その前は自分で板を前と後を糸鋸で切った・・・。90年初期、板を切って、バギーパンツ、ワイドスタンス、ハイバック外していたらリアルOLDJIBBER!!

 

2012/1/12

vol.68 等身大のリアリティ ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.70 ハウス・オブ・ヤマナカ