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日本を見つめる

map of japanこの職業の幅は広い。僕が一生出会うことは無いかもしれない超一級の古美術商から気軽な実用品を扱う道具商、古陶磁器専門の人から仏教美術、古裂、家具、茶道具などなど専門性は多岐にとんでいる。国の専門性も見逃してはいけない、自国の日本のものを扱う人もいれば、朝鮮のもの、中国のもの、ヨーロッパのもの、東南アジアのもの、中東のものとMIXして扱う人など本当に様々である。

そんな僕はどうであろうと改めて考えてみるとここ数年はその意識は自然に日本のものへと向かっている。若かりし頃は、正直日本のものにはほとんど興味は持っていなかった。音楽、ファッション、食べ物、文化に至るまで欧米に憧れていた。戦後の教育、マスコミの影響が関係しているのかどうかはわからないけどアメリカンナイズされていた(今もそうかも)。しかし、いざ異国の地に生活をしてみると、日本人であることを良い意味でも悪い意味でも思いさらせれたのである(ナショナリズムが高揚したっというわけではない)。移民の多い国では、会話において自分のルーツが話題になることが多い。それを踏まえた上で意見を求められたりするわけで、その人の個性のひとつと考えられることもあったように思える。それは世界ではなく、日本国内においても同じかもしれない。地域によって信仰、教育、自然環境、生活習慣は異なるわけで人格を形成する上で大きな影響をもたらせているに違いない。例えば、大雑把なかんじだけど、東日本と西日本の違いは現在でも相当あるように。

グローバルな世界になるほど実はミニマムなコミニティーが重要になってくるような気がするので、ここ最近は意識は自然と日本のものへと集中している。特に、古いものになればなるほど外来からの影響が少なくなってくるので日本人の初源的な思想や宗教観がより鮮明に浮き出てくるので、僕の日本を見つめるという行為のなかでは非常に参考になるのである。まだまだ、この業界に足を踏み入れたばかりの僕はあとしばらくは日本のものをみつめることになりそうだ。

 

2012/12/06

vol.115 有名、無名 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.117 瞑想?