僕が古いものを扱う以前にインテリアやアンティークによってできる空間つくりに興味を抱くきっかけになった本。コンラン卿は言わずと知れた大御所だが、当時日本には気にいったインテリアの本はなく、ましては実践的なこのような本はなかった。僕の憧れていた空間のヒントがたくさんあり、手にした時少し興奮したことを覚えている。古い建物にカッコよく改修、修繕し、アンティークやヴィンテージのものが新しいものとうまくあるコンランのデザインした空間は今の大きな流れをつくったことは皆さんご存知の通りだろう。
当時の彼の著書は実践的で日本でも参考できるものが多く掲載されていたが日本語版はなかったので、英語版を購入したが、今も大事に空間を作る際の参考にしている。この本の優れた点は、プロにも一般の人にも図や解説でわかりやすく説明している点。もちろん、空間の写真を眺めているだけで楽しい気分にさせてくれる。おそらく、この本をアイデアソースとして使っていたプロ達も多かったのではないかなと思う。基本的にDIY用だが、建築や興味のない人にとったら少々難しいかも知れない。また日本と海外のモジュールの違いなども考慮しなくてはいけない部分も多々ある。ここ数年はリノベーションも一般化してきたけれど、10年前ぐらいまでは新築の物件が圧倒的に多かった。その頃はまだ集合住宅や戸建、商業施設、法人、個人に関わらず既存の建物を生かすという考え方は日本では一般的ではなかったように感じる。今後の建築、インテリアを考えると既存のもの、古いものをどう上手に生かすかが新しい価値感として今後ますます高まっていくように感じる。骨董、古美術、古道具もそこにどう組み込んでいくかが今後の大きな課題だと思う。
2011/04/7