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かをるやま

かおるやま(1)

同じ福島県郡山市出身の写真家鈴木心氏の奈良で行われた個展を手伝わせていただいた。
中世より福島の郡山と奈良は采女伝説で繋がっている。もしかしたら僕が奈良へ移り住んだのも何か関係していたのかもしれない。空間全体が作品となったインスタレーションは物語にとことん沿ったもので、自然の石と白木の組み合わせがどこか神社のような宗教的な雰囲気を醸し出していた。華奢な白木が控えめでどこか日本人らしさを感じたのはぼくだけだろうか。彼の繊細さと大胆さがバランスよく表現されていた。かおるやま (2)

映像も2作品も流されていて、彼の母校である小学校の映像と原発の警戒区域の作品を同時に観るとまるで光と影、陰と陽の相対するものでありながら福島で、日本でリアルに起こっているもので、僕たちが今抱えている問題の大きさを静かにしっかりと伝えていた。押し付けがましくない、自然に流れる映像だからこそ考えさせられた。

かおるやま (3)

ショップもとことん福島。東北らしい、まっすぐな真摯な人たちが創ったものが集まっていた。素朴ながらも芯の強さを感じるものばかり、本物の東北福島産が終結。僕も福島と奈良のもの彼の描いたストーリーから外れないようを並べたつもり・・・。彼の郡山、福島を伝えることに少しでも貢献できたならば本当に嬉しい。
こんなにも意識の高いものをあきらめずにとことん追求する姿に感銘を受けることはなかなかない。みんなが気が付かないような細部まで手をぬかず、自分のストーリー、コンセプトにとことん沿ったことを行うことはそう簡単に出来ることではないし、それができるのはきっと才能を持っているごく一部の人間だけだろう。細かな地道な作業は全体の完成度を高め、心地よいものを作り上げる。そして、多くの人たちの心をも動かすことが出来るはずだろう。

気が付けば、この三坂堂通信もはじめてから丸三年が経った。この三年の間に東日本大震災が起こり、僕の価値観は大きく変化した。毎週一回休まず続けてきた三坂堂通信も、当初考えていたものとは書いていることがだいぶ変化していったのは改めて読んでみると感じる。ちょうど三年目にこの展示会のお手伝いすることによって自分に出来ることの可能性を考え直せることが出来たのは僕にとって大きな収穫であった。

*突然ではございますが、今回で三坂堂通信は最終回とさせていただきます。三年間拙い文にお付き合いいただき有難うございました。決して特別何かあったという訳ではございません、あえて理由を言うのであれば、その時間と気力を商品集めや眼を養う為に使うということにします。商品の更新はもちろん変わらず毎週UPしていきますので引続きよろしくお願いいたします。フェイスブックやブログは不定期に色々と発信していきますのでたまにチェックしてください。

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2013/08/31

  vol.152 ものと人 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.154 日本人という意識