Lowblow Art

Lowblow Artストリートカルチャー全般が好きでここ色々書いてきたが、スケーターなどのアートは一般的に「Lowblow Art(ロウブロウアート)」と呼ばれ80年代になって盛んになり、そのムーブメントは今も続いている。日本の人気アーティストなどの作品をみれば一目瞭然、日本のみならず世界中の現代美術に多大な影響を与えている。趣味の良い人から言えば、これらは低俗で低級な趣味かもしれない。しかし、キッチュなこれらの作品も根底にダダイストのデュシャンの思想が大いに影響しているのではないかと感じている。反芸術を唱えていたダダイストたちはアート界のパンクスみたいな存在だったのだろう。今のストリートアートにはパンクミュージックは切っても切り離せないもので、彼らのメッセージは反政府や反キリストに満ち溢れているけど、大きく捉えるのであれば既成概念への反抗、抵抗である(奈良美智はアトリエでパンクを良く聞いているようですし・・)。

バウハウスも初期の段階では、そのデザインは当時の主流への問題提起を感じるが、しかし1920年代から現在まで続きその影響が一般まで広がるとどうであろうか・・。デザインの過程で不要なものが棄てられ味気ないコンクリートのタワー型住宅が世界中に冷たく建ち並んでいる光景は建築における末路といっても言いすぎではないかもしれない。インテリアも然りで好きなものを選ぼうとしても選択できるのはサイズと形状ぐらいのものが多く自由度(個性を尊重するもの)の高いものは手に入りにくい。バウハウス学派が当時のファシズムとだぶって見えてしまうのは僕だけだろうか?大げさに言えば、ナチは消えつつあるけどバウハウスの精神の形態はデザイン界でも今も主流。世界のどこへ行ってもバウハウス的デザインは観る事ができる。ここまで長年色々なものに影響が強すぎると誰がやっても似たり寄ったりでますますエンドユーザーは選択肢が狭くなっていく、企業のみならず、個人までもが枠の中に収まってしまい社会における個人の嗜好、個性の重要性といったものを破壊しているかもしれない。とちょっと大げさに書いてみたけど少なからず僕自身バウハウスが好きで影響を受けていると思うので第三者の目線で考えてみた(パンクスの精神で)。現在は大きな主流であったものの過渡期でその中で個性を取り戻そうとするムーブメントがロウブロウアートを代表するストリートカルチャーなのではないかと思う。それとも、今まで文明と科学、芸術に常に進歩を求めて前進してきた人類が何かに行き詰まっているのか・・・。

 

2011/06/09

vol.37 僕の骨董感 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.39 Armand(アルマン)