経済の国境がなくなりつつある昨今、日本人としてちょっと立ち止って考えなければいけないのかもしれないと強く考えている。
グローバルな世界に変化していく事は僕は賛成であるけれど、ローカリズムが進みもっと成熟した社会、市場にならなくてはこの小さな日本は飲み込まれてしまうのでないかと危惧している。特に第一次産業の衰退は拍車をかけることだろう。
もともと農業、漁業、林業などは戦後衰退の一途を辿っていたのに、東日本大震災でより加速し、原発の事故によって僅かに見えていた光さえもも見えにくい状況。価格での競争のみらなず、安全なものが作りにくい環境になってしまい、日本人はそれを背負って生きていかなければならないのが現実だ。
日本の文化は地方の文化の集合体であるから、都市部の文化は地方が担ってきたと言っても過言ではない。地方の文化は農業や漁業、林業で支えられているから、それが崩壊してしまえば日本全体の伝統的な独自の文化、古来より脈々と受け継がれてきた社会システムまでもが消え去っていく、長い歴史で築き上げた日本人の価値観を市場の原理に委ねるほど、それらは僕らにとって大きな価値があるものなのだろうか。グローバリズムは今後日本人にとってどのような結果をもたらすのだろう。
ローカリズムが成熟していなければ、理想的なグローバリズムは成立しないと思う。ローカリズムは先人へのリスペクトがなければ生まれにくい。地域の文化は自然や風土、歴史が複雑に絡み合って形成されたもので、次世代へと少しずつ変化させながら受け継がれているものだけに、一旦途切れると再生は困難だろう。古いものを扱っていると途切れてしまった伝統や文化があまりにも多いことに実感する機会が多いだけに余計に不安を感じる。
高い経済成長を目指す事で失ってきたものへの代償はあまりにも大きすぎるように思える。早い結果を望まず、少しずつ修正していくのならばまだまだ望みはあるだろう。ローカリズムの再生は今からでも遅くないことと信じたい。身近な小さなコミニティが健全じゃなければ、グローバルな世界は、尚更、健全に機能しないと思う。
2011/12/22