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かご・カゴ・籠・篭

かご・カゴ・籠・篭vol.9では、茶室に入るような工芸的に評価の高いものではなく(毎度のことですがそれらを語ることはできませんので・・)、道具として普段の生活に使われていた「かご」にクローズアップしてみたいと思います。東日本と西日本で色々見てきた僕の個人的な意見で、文献や資料は全く関係なしに書いておりますので間違いなどございましたらご容赦下さい。

さて、東日本です。といっても東北中心になってしまいますが、農業や山仕事に従事していた人が多く住んでいたところらしく、強固で、実用本位、仕事の中でうまれたようなものが多いです。大ぶりで、素材の使い方も大胆なものが多いような気がします。竹をはじめ、山葡萄、あけび、胡桃といった山で採れる素材も多く自然の豊かさを感じます。新潟、山形、福島、秋田、岩手などは人気のある山葡萄のかごが今もつくられており、女性には人気がありますね。

西日本は、それに比べると素材は竹が多く(もちろん、山間部には色々な素材の「かご」は存在します)、東日本に比べると材料を細く割き、繊細に作っているようなものが多いです。例えば、白州正子が近江の佃煮屋で半ば無理やり手に入れた「かご」のように道具で使っていながらも華奢な感じなものでしょうか。寺院も多く、仏教の信仰が庶民階級でも古くから根付いていた地域ですのでどことなく華籠(けこ:お寺の儀式用具)のような雰囲気を持っているような感じもしますし、それとも西日本特有の材料をとことん無駄を最小限に抑え材料を使う習慣が古くからあったのでしょうか?現在でも建築業界において関西地区では、関東、東北地区にはない、細かく割いたサイズが木材にあり、使われています。必要以上の無駄をしない合理性が今尚、受け継がれているようです。古い住宅を観ても、東日本の民家は大ぶりな木材をどーんと使って、建具の板戸も一枚板だったりと素材を生かしたものが多くありますが、京都や奈良の町屋なんかを見ると千本格子が細かく繊細で腕の良い職人が材料を大事に使っていたことが垣間見れます。かごや古い家のつくりだけではなく、それらは陶磁器だったり、食であったり、はたまた生活習慣であったりにも感じることができます。流通の発達している現代では、品物1つだけ観ても地域差を感じることはなかなか難しいことがありますが、実際にその地域で感じることはなかなか面白いです。古いものを観察していくと、いたってシンプルな道具「かご」のように日々暮らしの中で使われていたものでさえ地域差を感じることができるのに、現在作られているものに、それらを感じるのが難しいものが多いのは、どこか淋しい感じがします。

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2010.11.18

vol.8 青山二郎 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.10 襤褸・ボロ・ぼろ