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襤褸・ボロ・ぼろ

襤褸・ボロ・ぼろ 特に古布好き、古裂好きってわけではないですが、「襤褸・ボロ・ぼろ」好きです。

きっかけは、以前にも書きましたが、古着ブームに青春時代をを過ごしたからでしょう。15年程前、カナダに滞在しているときは経済的理由と娯楽で古着屋に頻繁に通いました。古着屋と言っても日本やNYやLAにあるような洒落た店ではなく、郊外に殺風景な内装で1000平米ぐらいの広さに「コレ誰が着るの?」と思うような下着(男性用も女性用も)や使い古された靴下まで売っているような店(教会が運営し、寄付された古着を販売しているらしい)。何千着(万?)もあったので、結構時間が潰せましたし、頻繁に通っているとなかなかの出物を買うこともできました。

今思うと、「アーミッシュ」の人達をよくそこで見かけました。「アーミッシュ」もシェーカー教徒と同じように厳しい戒律と簡素な暮らしぶりがく取り上げられますが、当時は良くわからないので怪しい集団としか思っていませんでした。英語圏でありながら、仲間、家族同士では、ドイツ語?らしい言葉で会話、男性は長い髭をたくわえ、黒のズボンにサスペンダーに黒の山高帽、女性は化粧っけなく、トレンドを全く無視したワンピース姿。学校に行っているはずの昼間の時間帯なのに子供達も一緒なので無理もありません。気になっていたので友人のカナダ人に聞くと、彼らは共同生活を行い、仲間同士ではドイツ語を使い、子供達は学校には通わせず自分達が色々教えたりと他にも色々ありますが、自分達の信仰に沿った生活を送っている集団とのことでした。僕の住んでいた近くにもそのコミュニティーがあったようです。ちなみにネイティブアメリカンの居留地も何ヶ所かありました(ボロの話から遠ざかっているので「アーミッシュ」はこの辺で終了)。

さすがに下着は買いませんでしたが、自分で履き古した下着は「綿」であっても、ある日を境に「絹」のような肌触りに変化し、穴があいていてもその穿き心地から捨てるタイミングがわからないことってないでしょうか?・・・・。ジーンズなどの古着は柔らかいので穿いていて疲れにくく楽チンです。ちなみに新品を買うときは、ウォッシュ加工やダメージ加工のものは買ったことがありません。当時は糊付きのものを買っていました。加工されたものにはリアリティーを感じず、違和感があります。そんな感じなので、ある一線を越えた布にはなんともいえない魅力を感じます。ボロ布はしばしば扱いますが、実際のところヴィンテージデニムが好きな日本人より、なぜか欧米人に好まれます。モダンアートを扱うギャラリーのオーナーやヨーロッパ、アメリカのアパレル関係者には人気があります。とはいえ、最近は円高の影響か、あまり話はもらえませんが、自分の感覚を素直に受け入れる彼らには魅力あるもののようです。

継接ぎの部分が抽象画のようであったり、無造作な補修の跡や破れた部分に当てた布が見事なパッチワークににも引けをとらないものもあったりします。刺し子も古いものは、装飾の要素もありますが、本来は布の補強なので意図的なものをあまり感じず、素直に観れます。敷物、布団、座布団、野良着、お坊さんが使っていた袈裟などにも「何じゃこりゃ!」と思うほど、なんともいえない良い感じのものがあります。個人的には綿や麻布などの自然布、ゴワゴワ、ゴリゴリの厚かった布がへなへなになり用途を失いかけている瀬戸際のものが美しいと感じますが、皆さんはどう感じますか?

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2010.11.24

vol.9 かご・カゴ・籠・篭 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.11 ジョセフ・コーネル