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BAUHAUS

ヨハネス・イッテン 1933年にナチス政権の圧迫によって僅か14年で自ら閉鎖してしまったのに、建築、工業デザインに多大な影響を今日まで与えているバウハウス。今尚、バウハウスへのオマージュが後を絶たないのは、なぜだろうか?

芸術を建築に「統合」するという未来志向のコンセプトに手工業への回帰を目指し、その後、機能主義へと変化していったが、僕は個人的に、初期の基盤であったヨハネス・イッテンの「手工芸の復権」によってより共同体意識に帰結するという観念に強い興味を抱く。なぜならば、グローバル化が進む現在、芸術やデザインもより一般大衆化されワールドワイドに誰もが楽しめる基盤があるが、未だ市場原理主義、競争原理といったものに囚われている。これらは、バウハウス後期の機能主義に連動し目指すものがまったく違うものでありながらも方向性が同じになってしまう危険性をはらんでいる。現代を生きる僕らが求めているものは感じること。つまり、モノを手にしたとき、見たときに視覚のみではなく体感すること.。戦後に育った世代はバウハウスの行なった教育を何らかな間接的な形で受けているか、感じていると思う。モノを見て感じるとは具体的にどのようなことか考えてみるとおそらく「過程」ではないかと思う。生産効率を第一で考えられたモノよりも人の手を感じるもののほうが「過程」に魅力を感じる。また芸術を「統合」していくことで普段目にするもの、手にするものの多くに感じるものが多くなる。それによって日々の生活がより豊かになるはずではないだろうか?そうゆう観念がより一般化、大衆化することによって新たな価値観が生まれていくのではないだろうか?ファシズムによって活動に終止符をうったバウハウスが、その後もデザイン、教育、芸術の様々な分野で取り入れらた背景はそこにあると思う。多くの人がそれらの意識を共有することで、精神的な新しい価値観を見出せるのではないかと強く感じる。

Copper foil panel and stained glass (1916)
Copper foil panel and stained glass (1916)

僕も多くの人が思っているように、現在の日本(日本のみならず世界も含め)は、大きな変革期の真っ只中にあると感じる。資本主義がうまく機能していないこのような時代、バウハウスような共通の意識が大きな流れを生み出していく上で重要だと思う。世界中の人々が心豊かな生活を手にする道筋を差し示してくれるのではないだろうか。

 

2011/02/17

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