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アノニマス・デザイン

バタフライスツール商業主義に偏ったプロダクトの対岸にある無名のデザイン、アノニマス・デザインは一つの大きな流れと考えられている。果たして本当にそうなのだろうか?

確かに普遍的なデザインは存在し、大企業や有名デザイナーが介在しなくても人々の生活に自然にと溶け込む、美しいものは廻りを見回してもたくさんある。しかし今時、生産者が分からない、判明しない何てものは探す方がむずかしい時代。アノニマス・デザインを大々的に謳っている企業やデザイナーだって、マスコミに多く登場し自分たちの商品を宣伝しているわけで無名という看板を背負った有名な企業、デザイナーでありアノニマスな存在とは言い難い。全く矛盾している現実が存在しているのである。商業主義的なものではないものを謳って、自分たちが商業主義の最前線にいるわけである。また、ユーザーも製品の品質や保証ということを考えるとアノニマスの存在は困るわけであるので、アノニマスと言っておきながら、結局アノニマスではないのである。ほとんどのものが貨幣価値で判断される現状が変わらない限り、本物のアノニマス・デザインではないことになるのだろう。

そう思っている僕も果たしてそのような製品を買わないかと言えばそうではない。言葉の意味なんて時代と共に変化していくことなのだろう・・・。

 

2013/02/07

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