今をときめくフィルムメーカー「スパイク ジョーンズ(spike jones)」。映画「マルコヴィッチの穴」(99年)で監督としてデビューし、個性的な作品で”奇才”と呼ばれている・・・と、まあ一般的にはこんな感じで評されている。僕は映画製作以前の作品から彼の映像はアーティストのPVなどで良く観ていたので感覚的には”奇才”というより”自然(ナチュナル)”というか”素朴(シンプル)”な印象を感じる。以前、紹介したマーク・ゴンザレスやドン・ペンデルトンなどと非常に近い存在のストリートあがり、っというかスケーターあがりだからだろう。スケートボードの写真やフィルムメーカーから、アーティストのPV撮影、いまや話題の映画監督、世界的企業のCM製作を行なっている。彼のストリートで培われた美的感覚、メッセージは時代背景や趣旨は異なるもののネオダダやポップアートといったような感覚が普段の生活に身近に存在していたので(あくまでの僕の個人的な主観です。スケーターのコミティーは思想がナチュナルで既成の概念にとらわれていないと感じているから)、高い美術教育や権威ある伝統的な美術界とは明らかに異なっている。既存のアートとして考えるのであれば間違いなくアウトサイダーアートの類だろう。しかし、そのシンプルなメッセージを含んだ作品はより多くの人に影響を与えて、今のアート、ファッション、音楽、映像、インテリア(大企業さえも)などを牽引している。それは現時点で美術界で高く評価されている一部(?)人たちの作品を観ても明らかに彼らに直接的か間接的はわからないが強く影響されている。スケートボード、サーフィン、スノーボード、BMXなどのストリートのコミュニティーは資本主義が生んだ産物のひとつかもしれない。しかし、どんなスポーツ、アクティヴィティーなどからも企業の倫理や悪い意味での社会の枠組みなどという点を考えると遠い場所にあるのではと考えている。確かにアメリカなどではドラッグ関係やパブリックな場所の邪魔者などの悪い意見も多いが自由でクリエイティブな感性、精神を培うにはすばらしいものだと僕は考えている。スパイク・ジョーンズは、そんな彼らの代表なのかもしれない。今後も感性の優れたアーティスト、クリエーターはスケーターの中から多く輩出されていくことだろう。
2011/04/28
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