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神奈備

神奈備「カンナビ」という音の響きは何となくいい。神奈備とは神道においての神霊の宿る領域のこと。いわゆるアメニズムで自然への感謝、畏敬の念の体現で縄文神道と呼ばれる日本の古代信仰の代表的なものだろう。

その代表的な山が富士山であり、奈良では春日山だったりする。日本で育ったものであるならば詳しいことは知らなくても神聖なものと、育っていく環境の中で感じることができ、人間が共に生きていくうえでの自然の重要性を学ぶ上では信仰というものを踏まえなくても良いことのように思える。

近頃、富士山が世界遺産確実のニュースが話題になっているが、古代神道を原始的と唱えて、一神教を優れた信仰としてきた西洋的思考が日本に入り、西洋化した日本にとっては、さもすごいニュースになっているが世界が認めなくても日本人が大事にしていればいい話である(世界の人に知られること、それをきっかけに自国のものを見直せることはもちろん大事)。

霊峰「富士」は別格だけど、信仰の対象とされてきた、山や岩や滝や自然のものは古くから僕らの廻りに存在するわけで、いつのことやらか僕らには見えなくなってしまったのである。理屈では説明できないものを否定するような風潮は人間社会を決して進歩させるわけではないのかもしれない。富士山の文化遺産をきっかけに自国のものを見つめなおすことになればと思う。

 

2013/05/09

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