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Buckminster Fuller(バックミンスター・フラー)

Buckminster Fuller 思想家、建築家、デザイナー、詩人として枠に囚われない多くの活動をした、前回のvol.41にちょっと取り上げたリチャード・バックミンスター・フラー。

お馴染みなのが皆さんもご存知の「宇宙船地球号」。1963年に「宇宙船地球号操縦マニュアル(Operating manual for Spaceship Earth)」を著し、この著で地球と人類が生き残る為に、有限な資源(化石燃料や原子力エネルギー)の消費やめ、地球外部(太陽光)のエネルギーで既に実現できる可能性があると訴えていた。50年前に世界中がこの考え方にシフトしていたなら、今の日本の状況は起こりえなかったかもしれにと思うと感慨深い。なぜ、今、これほどタイムリーな話題に大きなヒントを持っていた人物なのに取り上げられないのか疑問でもある(電力業界とは反する考え方だから?)。

彼は様々なものを多岐にわたって発案しているけど、身近なものだとユニットバス(僕は好きではない)。ユニットバスはフラーが発案したけれど実は母国アメリカではほとんど普及していなく、遠く離れた我国、日本では驚くほど普及した。世界中を見回してもユニットバスが住宅の定番になっているのは日本くらい。この点を考えれば日本はフラーのような先進的な考え方を持っているのかもしれない。彼の提案したもの、コンセプトは現代の社会の社会的要素になっているけど、当時はほとんど評価されず、ほぼ変人扱いされていたらしい。日本は数少ないフラーの発案を実用化した理解ある国と言っても過言ではない。ということはユニットバスを定番にした日本人は彼の考えを率先して受け入れることができるということだろうけど、これだけの災害を経験した現在の日本であっても、今後の国のエネルギーに関する対応を見ていると受け入れる準備は未だ道のりは遠いと感じてしまうのは切ない。原子力開発、それに関連する利権、ビジネスを我々は深く理解し判断しなくてはいけない時期なのに・・・。

デザイン、アートを問わず何かを作り出すこと、表現することには哲学や思想みたいなものが必要だと感じる。シンプルなものだって何か訴えるものを僕は感じたい、シンプルなものはなぜこのように作られたのか?効率化の為?なぜ効率化を求めたのか?とか色々考えていくときりがないことだけど製作者のメッセージを探していくとつながりを持てるような気分になる。フラーのような過去の人物を知ることは実は未来を差し示している何かを感じることになったりする。そんなものたちを身の回りにおいて生活していたら自分の感性も多少は磨かれるような気がするし、楽しいと思う。そういうものは簡単に捨てられないから大事に使うこともできるし・・・。選ぶ側がそういう意識を持てばこの世は変わっていくのではないのだろうか。もしかしたら、新しいエネルギーだって簡単に生まれるかもしれない。

 

2011/07/07

vol.41 Black Mountain college(ブラックマウンテン・カレッジ) ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.43 裸形のデザイン Les Formes Nues