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アッサンブラージュ

Joseph Cornellアッサンブラージュといえば、以前にもここに書いたことがある好きなアーティストのジョセフ・コーネル(1903~1972)がすぐに頭に浮かぶ。アッサンブラージュの第一人者として知られ、彼のつくった箱は皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれない。

小さな箱に自分の好きな古いものを入れて構成した箱は、古いものが好きな人間であれば必ず何か感じるであろう独特の魅力を放っているのである。限られた空間に自分の見出した美しさを展示することは、どこか骨董、古美術商に似ている作業で選んで見せることは考え方一つで自分を表現することなのだと認識させてくれた。

僕はアーティストではないので表現しているという認識は全くないが、お店にものを並べたり、ウェブでものを紹介したり、ものを選んで展示会したりということは意味や伝えたいことが根底にあるならばアッサンブラージュなのではないだろうか。

コネールの箱を見たとき、僕の頭に真っ先に浮かんだのは茶室であった。誰もがそうかも知れないないが、僕はアーティストの作品を鑑賞するにあたって自分との共通点を探してしまうのである。窮屈な箱なのに、奥行や広がり、そこから溢れんばかりの飛び出しそうな強いメッセージがあるのににどこか控えめな感じ、見た目は全くかけ離れているし、日本的な素材はほとんどないが、全体的に感じるもの、根底にあるものは茶室そのものようだと感じた。限られた空間なのに、無限に広がる奥行のある感覚は日本人の心を刺激する何かを感じるのである。

茶室に限らず、狭い空間、例えば床の間に飾ることを日本人は行ってきたわけだが大きく分類するならば、これもコーネルの箱のようなアッサンブラージュなのではないだろうか。

 

2013/03/28

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