灯りの道具

灯りの道具にはなぜか惹かれる。理由はわからない本能的と言うしかないかも・・。柔らかな蝋燭の灯りやキャンプの時の焚き火など好きな人も多いはず、洞窟に住んでいた祖先の記憶がDNAに刻み込まれているのかもしれない。

日本にも様々な灯りの道具があった。松明用や鉄のものや、竹と紙で作った提灯、油用の陶磁器のもの、素材、地方、用途によって多くのものがあり古いものを探していると今尚頻繁に出会えるので面白い。僕は特に庶民の暮らしにあった素朴(シンプル)モノが好き。

木製行灯

木製行灯 和紙は既にはがれ木枠だけが残りその簡素さに惹かれる。

鉄の燭台

錆び錆びでボロボロの鉄の燭台。使われなくなってからどのくらいの時が経過したのだろう。

 

錫の手燭

錫の手燭。この形の錫のものはめずらしい。角に丸みがあり、錫の素材感が一層柔らか味を増している。

 

迫力のある鉄製

迫力のある鉄製。東北のお堂で使われていたもの。東北には良い鉄味のものが多い。

僕は古いものは好きだが懐古主義とは少し違う。古いものがすべて良いとは思わないけど、見習うべき点は多くあると思う。少しぐらい不便でも心の豊かさを感じるほうが健全なのではないだろうか。

陽が沈み、夜になれば暗いのは当たり前、ならば暗さを楽しんでも良いのではと思う。自然に逆らわず、寄り添っていくことを少し忘れてしまったのかもしれない。

便利になれば不便を憧れ、不便になれば便利を憧れる。矛盾しているのかなあ・・。

今年の夏の節電を過ごしそんなふうに感じた。

 

2011/09/01

vol.49 スペクタクルの社会 ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.51 Damien Hirst (ダミアン・ハースト)