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パラダイムシフト

Thomas Kuhn2000年代に色々な分野においてパラダイムシフトが起こったような感覚があるが結局何が変わったのかと聞かれたら説明はできないかもしれない。もしかしたら、何も変わらなかったのかも・・・。2010年代に入り社会環境の変化に人々の心もようやく変化してきたのか、何となく兆しを感じるが大きく変わった実感はなかった・・・。きっと、この十数年はパラダイムシフトが起こる前兆の期間だったのだろう。そして、3.11の震災を経験した日本は急激に変化をもたらすのかと思いきやそうではなかった。これから良くも悪くも何かが変わりそうなのは、誰もが感じていることなのかもしれないが、いまだ実感は僕にはない。

ごくごく狭いことではあるが、僕が身を置く骨董、古美術界においてもパラダイムシフトが起こっているはずと今までは信じていたが、どうやらそうでもないかも・・と、思ったりもしている。

既成の価値観を壊すことは並大抵のことではないし、自分の知識や経験を否定することでもある。ましてや情報が多すぎる今は、自分の価値観ですらマスコミや情報の操作によってすりこみされたものかもしれない。実はパラダイムシフトの流れさえ、誰かの情報操作によって意図的に行われているとも考えられるのである。もしかしたら業界の重鎮だって他の大きな力によって自分では気が付いていないだけで操られている可能性だってある。自分以外の評価、世間一般的な評価なんてものは実は存在しない可能性だってありうるのだ。ものの評価、相場なんてものは無に等しいものなのだろう。結局は最終的には己が決めなくてはいけないのである。パラダイムシフトも実は世の中の大きな流れではなく、自分が変わるかどうかってことなのかもしれない・・・。

 

2013/01/24

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