家で使う茶碗

古いものを扱う人間でありながら自分のプライベートな空間を改めてみてみると古いものが少ないのに気がついた。この商売は収集癖が強いと生活が困難になってしまうこと間違いないだろう。自分の好きなものっておそらく他の人も好きでほしがるもののはずで、そんなものばかり、しまいこんでいたら売れるものがなくなってしまうでは?と考えているので自分の一押しは隠さずにしているつもり。まして、湯水の如くお金もないので、そういうものを先に売ることをしなければ、お金の話でいやらしいが商売が成り立たない(あくまでも僕の場合でそうじゃない人もおそらく大勢いるのだろうと思う)。

食卓でも、ある程度続けていくと最初の古いものの純粋な思いがだんだん薄れていくこともあるかもしれいなあと感じ、先日、仕入れとは別に、プライベートのご飯茶碗を探してみることにした。純粋な気持ちを忘れない為にも。

まずは、作家物にするか、古いものにするかだけど一応古道具屋なのでそれなりの時代のものを買おうと決める。次に予算、これが一番の問題だけど普段使いなのでなるべく安いものが良いだろう。あちこち探してみるがちょうど良いサイズ、好きな形ってなかなか見つからない。上を見たら無いことはないが際限がないし、第一予算がない。、身分相応のものでなくてはいけない。諦めずに探していくと数点候補が上がってきた。そんな中から選んだのが画像の茶碗。李朝前期の白磁。もちろん発掘品。焼き上がりはまずまずで、カセも無く、ニュウが2本あるが問題はなさそうだ。肉厚も薄く、食器を手にもつ日本人にも軽い茶碗だ。お米好きの僕にはちょっと小さいがおかわりすればすむ話。ようやく気にいった品が見つかった。仕入れとは別に古いものを探して手に入れるのってやっぱり楽しい。でも古道具屋の悲しい性、仕入れがうまくいかず、物が無いとき、おそらく売ってしまうのだろう・・・。

 

2011/12/08

vol.63 オノ・ヨーコ  ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.65 金(GOLD)に興味あり