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ニコライ・ネフスキー

ニコライ・ネフスキー民俗学や特に東北の民間信仰について書物を読んでいるとたびたび名前が出る外国人がいるがそれが「ニコライ・ネフスキー」だ。特に仏教伝来以前の古い民間信仰が今尚残っていると言われているおしらさまの信仰など日本人でもなかなか理解が難しいものやアイヌの言語などについても日本に多大な功績を残しているのには驚かされる。柳田國男などとも親交があり日本の民俗学の重要な人物の一人だったようである。

日本人の宗教観を理解するには、西洋的な宗教観では非常に理解しがたい。特に異教徒が混在し、新旧問わずそれを受け入れる寛容性は世界を見廻しても日本しかないと思う。そのさまざまな外来の宗教が古代神道と交わり、細長い日本のさまざまな自然環境も結びつき複雑になっているので近代的な西洋的宗教観で考えるのであれば答えは見つからないであろう。

明治からすべてのものが急速に西洋的思考に変化し、自らの信仰さえもを文明的ではないと思い込んできたがために土着的な民間信仰はあまり知られることがなかったのかもしれない。日本人としての多少のナショナリズムは確かに感じるが、その興味はその根底にある人間としての思考の源への興味であり、世界中のどんな地域でも物事をシンプルに考えている原始的な信仰は核の部分はほとんど同じではないだろうか。
天の蛇

本当に必要な情報ってこんな情報過多の時代であっても簡単には見つからない。特に土着的な口承のよって続けられていた民間信仰のことについては特に少なく戦前の研究に頼ることが多いし、実際のそれを知る人が高齢になっており、その口承は急激に行われなくなっている(消滅しつつある)。それは、正しいことなのか、正しくないのかは分からないが当時のネススキーは研究の重要性を感じたに違いない。そのように感じたからこそ外国人にとって非常に難しい問題にあえて取り組んだのだろう。

ネフスキーは日本での研究後、母国ロシアに戻ったがスパイ容疑などをかけられ拘束され収容所にて死亡したと言われている。時代に翻弄された人生だった。その研究は死後だいぶ経ってから評価されているが、日本に今、生きる僕らにどれだけ知られているのだろう。ネットで簡単に色々な情報が得られる時代なのに・・。

 

2012/06/07

vol.89 山岳信仰  ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.91 MARGARET KILGALLEN