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棟方志功

棟方志功民藝運動に深く縁のある人物の中で僕の興味の沸く人物はダントツ棟方志功である。名立たる重鎮の 陶芸家達ではない。東北出身である点も大きな理由だろうか。

牛玉宝印などの護符にソースを感じるような、一度観たら忘れられない印象に残る作品は、ダイナミックで、ぶっ飛んでいるといいっていいだろう。もちろん考え抜かれたバランス、繊細な色使いを駆使しているからこそ自由な棟方ワールドを炸裂している。とことん日本人でありながらも日本人離れした世界の巨匠だ。

彼の作品時代は違えど、リアルタイムで僕の好きなマーガレット・キルガレンなどストリートで愛さるアーティストにどこか共通するものを感じている。おそらく、オリジナルのスタイルという点で、何百年も代々継承されてきた伝統的な完成された美しいものとは違い、自分の身までも削り表現された人間臭さみたいなものを感じるからだろうか。技術とか技法とかではない精神的部分なのだろう。作ることによって寿命をも短かくしているかのような迫力は、作品を見れば容易に感じることができる。生と死を感じるものは、人はなぜか自然に惹かれてしまう。

オリジナルのスタイルは、自分だけのスタンダードを形成するということで、既成芸術の価値を根本から変えてしまう力を持っている。自然発生的に生まれたアート(デザインやものすべて含む)は、既成の価値観に沿ったアートよりもライフスタイルから生まれたものだけに親近感が、強い必然性を感じさせる。より民衆的なもの、庶民的なものといっていいだろう。僕は棟方志功の作品からそういう今で言うストリートの感覚を感じている。

2012/08/23

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