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骨董と空間

インテリアの延長でこの世界に足を踏み入れたので空間には非常に興味がある。もちろん、自分の空間ならば尚更こだわりたいが現在は借家住まいなのでそうもいかない・・・。

僕にとっての空間の構成を考える際、重要なの素材である。見て、触り、嗅いで身体に感じることができる素材がなんといっても良い。具体的に言えば吸湿性のある天然素材だ。しかし、大抵の家、特に賃貸の住宅は、汚れがつきにくく、簡単に掃除ができ、変色しにくい本物に見える科学製品でコーティングされたものがほとんど。素材を肌で感じることができない。本物の素材を使っているフローリングも分厚い塗膜で表面は結局化学製品だ。素地が天然のものはカタログ内では非常に少ない。よくよく考えてみると今の素材選びはカタログから選ぶ場合がほとんど、工場で作られた製品を購入することが普通になっている。住空間はいつからカタログで選ぶようになったのだろう?ちょっと前まで、壁も床も戸も普通に職人さんに各々注文していた。製品にはロットナンバーなんかついていなかったのである。壁は左官職人が漆喰や京壁、土壁を塗り、材木屋から大工が木材を仕入れ鉋をかけ、戸は建具職人が作るのが普通だったのに今の空間つくりは今あげたものをひとつもやらずできてしまう。ロットナンバーのついていない仕事は新建材とは異なり重量感が違う。そういう素材でつくったものは経年変化が美しいし、骨董、古美術、アンティーク、古道具の相性は抜群だ。

それだけではなく、調湿作用が働き程よい空気を保ち清潔感が生まれ、結露も軽減されるし、科学物質も極力抑えれば体にも優しい。なのにそういう空間は少ない。ちょっと前まで、そういう素材の空間が日本には数多くあったのになんとも不思議な話である。ある時期を境に僕らの空間はプラスチックで覆われてしまったのだ(企業の策略にまんまと乗せられてしまったのか・・・)。古いものが好きな人はそういったことに関する意識が高い人多い。自分や人が気持ちよく過ごせれば、肉体的にも精神的にも絶対良いはず!。気持ちよい空間でみんなが過ごせれば、解決の見出せない数多くの問題もきっと減り、楽しい社会になるはずだと確信している。

Axel Vervoordt
最近好きなAxel Vervoordt

皆さん良い古美術、骨董を買って、良い空間で過ごしましょう(どちらのご用命も当店へ)!!

 

2012/07/26

 vol.96 ものの値段  ≪ 三坂堂通信 ≫ vol.98 超自然造形力